食彩の王国 2017年1月

食彩の王国 2017年1月

永六輔さんは、常に批判精神を秘めた独特の表現と活動で、サブカルチャーをメインカルチャーに押し上げた人だ。また、話して聴かせる表現を好んだ。古来、情報は語ることが中心だった。浅草の浄土真宗の寺に生まれた永さんは、大衆的な説教を聞いて育った。それが、現代の語り部として生きることに向かわせたのだろう。永さんがラジオに情熱を傾けてきたのも頷ける。そして、真面目なことを言う気恥ずかしさを、ジョークのオブラートで包んできた。全国各地で小さなお話の会を開き、風刺やユーモアで世相を語る姿は坊さんの辻説法そのものだった。
永さんは、テレビに出るタレントが物を食べて、「美味しい!」と言うのを嫌っていた。自分でも、旅先で物を食べるシーンがあると、「食べるところは撮らないで!」と言っていた。そのかわり、その裏側でどんな努力が払われたかを克明に語り、持ち味を伝えようとしていた。あるいは故事来歴によって、目の前の食べ物を浮き彫りにした。
放送14年目に入った「食彩の王国」は、食材を通じて紡ぐ日本人論だ。食べるシーンを使わないのは、永さんの影響も大きい。
(土橋正道)

語り

薬師丸ひろ子

放送予定

    OA日     テーマ    担当D
#661 1月 7日 : 新春SP   ※VIVIA
#662 1月14日 : ジビエ    前夷里枝
#663 1月21日 : 寒ブリ    細村舞衣
#664 1月28日 : あんこう   ※VIVIA 

1月のテレビマンユニオン 担当回は・・・ 

『ジビエ』
納豆を初めて食べたのは、聖徳太子だったという説があります。馬に煮豆を食べさせたところ、余ってしまったのでワラに包んでおき、数日後に見てみると煮豆が納豆になっていた、というものです。
納豆に含まれるナットウキナーゼという成分は、耳鳴りや難聴に効果があるとされ、食べた聖徳太子は10人の話を同時に聴けるほどの聴覚を身につけた…というのは僕の勝手な想像ですが、独特の臭いがして糸を引く納豆のように、初めて口に入れた人を尊敬してしまうような食材はたくさんあります。一般的に「ジビエ」と呼ばれるもののイメージは、それに近いかもしれません。番組に登場する鹿、猪、鴨などのほか、コアなところではカンガルー、ワニ、ウーパールーパーまであり、どれも獣臭くてクセが強いという印象を持たれているのが現状です。
でも今回、初めて鹿や猪を食べて驚きました。牛や豚も、うかうかしてられないのではと思いました。その美味しさは、今回の「食彩の王国」を見て頂ければわかると思います。
「ジビエなんて美味しくないよ」と、たとえ10人に言われても、聖徳太子のように10人の話を同時に聞き流してください。
(鴨下 満)

『寒ブリ』
突然ですが、問題です。真冬に旬を迎える石川県の寒ブリらしからぬ出来事は、次のうち一体どれ? 

1.12月なのに最高気温が気温23度の金沢。
2.そのせいか、ブリの定着網漁の水揚げがゼロの日も珍しくない。
3.ブリが揚がらないのでクリスマスにもかかわらず、一人、能登にいる細村D…。

さて正解は?正解は1月21日のOAにて。
今年も「食彩の王国」をどうぞ、よろしくお願いします!
(間宮 圭次郎)

プロデューサー

土橋正道

アシスタントプロデューサー

平田早季

ディレクター

前夷里枝
植田裕久
田中由美
細村舞衣
永田暁児
橋本倫
阿部賢実
岸元美江

リサーチ

北口由子

アシスタントディレクター

鴨下満
間宮圭次郎