プロデューサー・演出 岸 枢宇己
入社~コロナ前、色んな意味で印象に残っている仕事の一部
『マジック王国』(テレビ東京)ディレクター
⇨自分が大脱走
『グレートマザー物語 森永卓郎編』(テレ朝)ディレクター
⇨ナレーターが激怒
『世界ウルルン滞在記 パパイヤ鈴木がベトナムの竹馬村へ』(MBS)ディレクター
⇨レポーターが骨折
『クイズモンスター』(NHK総合レギュラー)演出
⇨これ尺になるの?
『美味旬感』(テレ朝レギュラー)ディレクター
⇨凍ったホタテ
『証言ドキュメント 日本サッカーの50年』(第2夜 迷走そして悲劇)(BS-1)ディレクター
⇨ADの膝崩壊
『日テレ開局65周年SP 女たちの中国』(日テレ)
⇨カメラマンの涙
『The GAME 羽生善治vs谷川浩司 史上初の七冠制覇』(BSフジ)演出
⇨恐れ知らず
『1964東京オリンピック 1億人に勝利を アスリートたちの挑戦』(BS-1)ディレクター
⇨金メダル以上
『ヒーローたちの名勝負 奇跡の大逆転PK戦』(BS-1)ディレクター
⇨一杯のコーヒー
『めざせ!オリンピアン』(BS-1)プロデューサー・演出
⇨心が伸びしろ
『グッと!スポーツ』(NHK総合レギュラー)演出
⇨演出と費用対効果
『2020スタジアム』(NHK総合)演出
⇨5人の力
コロナ蔓延後で印象に残っている仕事
『高校最後の夏だから 球児たちの晴れ舞台』(NHK総合生放送)演出
⇨副調で涙
『東京オリンピック開会式直前スペシャル』(NHK総合生放送)演出
⇨増田明美!
『NHK×日テレ テレビ70周年特別番組 テレビとは何だ?』(NHK総合生放送)演出
⇨平野レミ!
『今夜みんなで大発見!シチズンラボSP』(NHK総合生放送)演出
⇨きんにくん!
『奇跡のレッスン(男子サッカー)ハンス・オフト編』(BS-1)ディレクター
⇨我がサッカー人生に一区切り
どうしても世の中に訴えたいことがあるか、と自問してみて別にないなと思う。世の中を変えたいと思っているわけでもないし、何かに激しく怒っているわけでもないし、こんなことでモノ作りしていていいのだろうかと空虚な気持ちにもなる。クリエイティブな仕事って、そういう大義を立てていないと何かサマにならないような気がして…。でも本当にそうだろうか。
元サッカー日本代表の選手と一緒にマレーシアに行った。彼にとってとても大事な一戦があって、その舞台を17年ぶりに訪れたのだ。当時彼は22歳。実はここが彼のサッカー人生のピークだった。もっと真面目にやっていれば、日本のエースとしてワールドカップで活躍したり、海外のクラブチームを渡り歩いたりできたのに、と厳しい評価が聞こえてくるような男。僕もそう思っていた。自分を律しきれず潰れていったかわいそうな選手。
ところが、ともに時間を過ごしてみると、どんどん印象が変わっていく。夕食時はコーラしか飲まないし、サッカーの話を始めたらどこまでも熱い。そしてスタジアムに近づき、ピッチに足を踏み入れる度に、彼の顔は明らかに変わっていった。カメラの前で自分を演じているのかどうかくらいは察しがつく。どうやらそれとも違うようだ。ピッチを右に左に歩きながら、顔をしかめたり、喜びを表す彼を見ていて、誰も知らない苦悩があったのかなと思い始めた。
僕はこれを知ってほしいと思った。できるだけ多くの人に知ってほしいと。
この気持ちに応えられる手段を考えてみた。インターネット?活字?映画?ラジオ?どれもしっくりこない。やっぱりこれはテレビで伝えるべきことではないか。テレビだからできることがあるんじゃないか。そんな思いに支配された。
思えば20年前、僕は『四季報』という会社案内の本をめくり、テレビマンユニオンを見つけた。どんな人間がいてどんな番組を作っているのか、ろくに知りもせずに門を叩いた。白紙の状態から始まり、入ってみて色んなことに気付いた。だから思う。
“何か強烈なものが先に立っていなくてもいいんじゃないか。”
少なくとも何かに気付けて、それをどうしたら伝えられるか、真剣に考えられるのであれば。
そんなわけで、何も期待せずにお待ちしております。