新・13の顔を持つ男 その2 「文筆の人」伊丹万作と十三

 今回は「文筆の人」「エッセイスト」に焦点を当てて伊丹家三代(万作・十三・万平)の系譜を辿ります。
文筆の力こそ、全ての伊丹的表現の背骨であったと私は思う。そこには偉大な父を持った子どもの栄光と悲惨、つまりは葛藤、その父を13歳で亡くした混乱が、影を落としていた。彼が描こうとしたものは、ものごとの正しいやり方、あるべき姿であり、それは「父親がいたらそう教えたであろうようなもの」であった。一方、全ては「日本人論」に行き着いた。父・万作の「戦争責任者の問題」はだまされる側の責任を問い、日本人の弱さ、ずるさ、情けなさを徹底的に批判するものであった。その批判精神の延長線上に伊丹エッセイはあった。表面上は軽く、軟弱に見えるのだが、根底には骨太な呼びかけが貫かれていた。「日本人よ恥を知れ、本格を学べ、誇るに足る文化を作れ」と。
(浦谷年良)


放送日
6月9日(土)25:05~
6月16日(土)25:00~
6月23日(土)25:05~

【2013年3月 1~4 一挙再放送】
3月17日(日) 12:30~
3月27日(日) 21:00~
※追加撮影を加えた特別篇として放送いたします。

出演

池内万平   関川夏央
内田樹   松家仁之

P&D

浦谷年良

撮影

鈴木正之