ヒーローたちの名勝負「第35回有馬記念~オグリキャップはなぜ奇跡の復活を遂げたのか~」
競馬史上、最も愛されてきた葦毛の怪物「オグリキャップ」。
今から23年前の暮れ、中山競馬場には17万人を超える観衆が詰めかけた。
しかし、その一番人気はオグリキャップではなかった。
秋の天皇賞で6着、前走のジャパンカップは11着と惨敗。
誰もが「燃え尽きた」「オグリは終わった」と囁き合った。
だが多くの予想を覆し第35回有馬記念のレースを制したのは、4番人気のオグリキャップだった。
第4コーナーを回ってから猛然と追い込み、奇跡の逆転勝利。
中山競馬場は大観衆による「オグリ!」コールに包まれた。
最後まで勝負を諦めず、常にひたむきに走ったオグリキャップ。その姿は「意思がある」とさえ言われ、人々はそれぞれに感情を寄せた。オグリキャップより速い馬、強い馬は他にもいた。
しかし、なぜ20年以上たった今も愛され続けるのか―。
今なお語り継がれる名馬オグリキャップの「ラストラン」にスポットを当て、関係者の証言を元に、名勝負の裏側に迫りたい。