ヒーローたちの名勝負「第四の男が引きよせた金 長野五輪ジャンプ団体」
1998年、長野五輪スキージャンプ団体。
この年スキージャンプW杯では日本選手が表彰台を独占、ジャンプ団体の金メダルは確実視されていた。
しかし、自国開催のプレッシャーと五輪史上最悪といわれた猛吹雪の中、一巡目が終わった時点で4位。このままではメダルすら届かない最悪の展開。
だが、そんな絶体絶命のピンチを救った一本のジャンプがあった。
「計測不能、計測不能。岡部、大ジャンプです!」
二巡目のトップバッター、岡部孝信が飛んだ137メートルのジャンプが、日本を一気に首位へと押し上げた。チームメイトの原田雅彦は「この一本があったからこそ、日本は金メダルを獲れた」とあの時を振り返る。
あれから16年。今なお現役選手として理想のジャンプを追い求め続けている岡部孝信。金メダルへと導いた起死回生のジャンプはなぜ生まれたのか?原田・船木の華々しい勝利の裏側にあった、もうひとりのヒーローの物語。
(刀根実香子)