BORN IN JAPAN HONDAインターナビ編

BORN IN JAPAN HONDAインターナビ編

 小学生時代、鉱石ラジオの組立てに夢中になっていた。増幅回路(アンプ)はないのでイヤホンでしか聞けなかったが、六年生の時には増幅回路を持つ、つまり電池を使うトランジスタラジオを組みたてるまでになっていた。しかし中学に入ったとたん夢中になるものが一変して、「エンジン」の虜になってしまう。きっかけは何だったのだろう。アイルランドとイングランドの間にあるマン島で行われていたレースで、イタリアのMVアグスタ、東ドイツのMZという強豪にホンダの4気筒のバイクが勝った時か、1958年に発表されたスーパーカブを見た時か。スーパーカブは世界初の50ccのOHV4サイクル、4.5馬力という圧倒的な出力のエンジンを積んでいた。授業がつまらなくなるとエンジンの図面ばかり書いていた、つまりエンジンを設計していた。本田宗一郎にあこがれる「ホンダ少年」になっていた。中学生でありながらホンダの発行する月刊誌も定期購読していた。ある時、スーパーカブに疑問を持った僕は本田宗一郎宛に手紙を書いた。そして本田宗一郎さんから返事を頂いた。疑問は解消されなかったが、本田宗一郎その人からの返信に胸がキュンとしたのを覚えている。勿論、世間を醒めた眼で見るようになって、本人からではなく、きっと広報部のスタッフが送ってきたのだということは気付いたが。
 スーパーカブはホンダを世界のホンダにしたバイクである。本田宗一郎の思いや執念が凝縮され、「人の役に立つ」というホンダイズムを体現したバイクである。
 ともあれ今回はスーパーカブのお話ではなく、ホンダが世界で初めて作り、初めての取組をしているカーナビ「インターナビ」のお話。インターナビも見事にホンダイズムを体現している。
(白井 博)

ナビゲーター 中村七之助

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篠原利恵