Zero Waste Life 2024年11月
日本には昔からあらゆるものには大切な「命」があり、その「命を最後まで生かしきる」という思想が連綿と息づいてきた。それはモノの命を慈しむ、まさに「捨てない暮らし」そのもの。モノの命を慈しみながら暮らしを楽しむ人々の素晴らしさを世界に向けて伝える15分番組。
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この番組でDデビューした中国出身の瀋志揚(パン・ジーアン)の6作目が 「パンの耳をビールに」篇。海老名市で無添加でのパン作りを続けてきた方が、廃棄されてしまうパンの耳を使いビール造りに挑んだ。添加物を含んでいないおかげで、醸造もスムーズに進んだという。最近ではさらに規格外のイチゴを生かした発砲酒作りも。「こんな酒造りを応援し続けたい」と感じさせてくれる深い味わいだった。
(三田豊)
今月の放送(NHK WORLD-JAPAN )英語版 毎週金曜 午前10:45~11:45ほか
11月1日
#41 Sea Trash Nails 「海のゴミが指先で輝く」(D中島旭洋)※再放送
湘南でネイルサロンを営む有本奈緒美さんが作る、色とりどりのネイルチップ。幻想的な模様の正体は、海岸に漂着したプラスチックごみだ。おしゃれをしながらも、環境問題への意識を高めてもらいたい──そんな思いが込められているという。かつては介護士だったが、9年前に発症した難病により足が動かなくなってしまった有本さん。手だけを使ってできる職業としてネイリストを選び、家族に支えられながら制作を続けてきた。休日に車椅子を押し、海岸で一緒にごみを集めてくれる夫。集めたごみの裁断を手伝ってくれる娘たち。家族の絆が、ネイルチップをより美しく輝かせている。
11月8日
#42 Food Waste Washi 「FOOD PAPER 越前和紙の新しい形」(D小林舜)※再放送
日本三大和紙産地のひとつ、福井県越前市。ここに工房を構える五十嵐匡美さんは近年、一風変わった和紙作りに力を注いでいる。それは伝統的な和紙の原料の楮(コウゾ)に、食材を混ぜて作るFOOD PAPER。規格外で市場に出回らない作物や、加工場で出た廃棄食材が使われている。伝統工芸の技術でフードロス問題に貢献したいという思いから始めた取り組みだ。同じ作物であっても品種や産地によって出来上がりの質感が変わるFOOD PAPERは、その珍しさから観光客にも人気を博している。1500年以上続く越前の和紙に、いま新しい歴史が刻まれようとしている。
11月15日
#43 Tick-TockTransformation 「チクタクアート」(D奥野崇)※再放送
佐賀・鳥栖市で時計店を営む伊藤尚史さん。時計の修理職人である一方で、とても珍しいアーティストでもある。廃棄された時計の部品や修理時に交換した部品など、使い道のなくなったパーツで作られた蛙、馬、トンボなどの生き物たち──時計内部の美しさに魅せられ、かつ驚異的な器用さを持つ伊藤さんにしか作れないアート作品だ。この時計廃材を生かした「チクタクアート」は大きな話題を呼び、今では全国から役目を終えた時計が伊藤さんのもとに届く。送り主らと伊藤さんに共通するのは、長年時を刻んでくれた時計をただ捨ててしまうのは可哀想、時計たちに永遠の命を与えたい・・・そんな思いだ。
11月22日
#69 Bread Crust Brewing 「パンの耳をビールに」(D瀋志揚)
神奈川・海老名市で長年パンを造ってきた吉岡謙一さんは、切り落としたパンの耳の使い道に悩んでいた。捨てずに人の口に届けたい!そんな思いでビール造りに行き着いた今、パンと同じ愛情をビールに注いでいる。
11月29日
#44 Sawdust Clay「おがくず粘土」
東京の下町、葛飾区にある鉛筆工場の一角で、ユニークな商品が作られている。それはおがくずを原料とした粘土。発端となったのは、鉛筆の製造工程でやむなく出てしまう大量のおがくずを、なんとか有効活用したいという思い。現在社長を務める杉谷龍一さんが中心となり、何年もの試行錯誤を重ねて開発した。おがくず粘土の感触は、一般的な粘土とまったく変わらないが、粘り気のもとになっている糊は微生物が分解できる成分なので、環境への配慮がなされている。最大の特徴は、乾くと木とほぼ同じ成分の固形物になること。子供が安心して遊べることから、地元の保育施設でも重宝されている。
※この番組は放送終了後も、ビデオオンデマンド(外部サイト)でご覧いただけます。
※YouTubeのNHK WORLD JAPANのチャンネルでも「Zero Waste Life」は視聴いただけます。
リンクはこちら(外部サイト)
NHK BSでも放送があります。英語版 毎週金曜 午前4:30~4:45
11月 1日 #55 生き返る節句人形 (D渡辺裕太)※再放送
11月 8日 #56 廃校の備品のアップサイクル(D瀋志揚)※再放送
11月15日 #57 服を救うアトリエ (D奥野崇)※再放送
11月22日 #58 柔道着を使い尽くす (D瀋志揚)※再放送
11月22日 #59 “もったいない”の灯火 (D中嶋旭洋)※再放送
音楽
笠松泰洋
ナレーション
ガイ・ペリマン
音響効果
岡林亜実