ダイワハウス presents 歌舞伎役者 尾上菊之助の挑戦 踊れ!踊れ!踊れ! 春興鏡獅子
明治の劇聖と謳われた九代目市川團十郎と五代目尾上菊五郎を称え偲ぼうと1936年に始まった歌舞伎界最大の興行〝團菊祭〟。
歌舞伎座立替えにより昨年から大阪松竹座に場所を移して行われており、今年も「團菊祭五月大歌舞伎」として5月2日~26日に開催される。
この〝團菊祭〟で、昨年、女方屈指の大役と言われる「摂州合邦辻」の玉手御前に挑んだ五代目尾上菊之助丈が、今年は、歌舞伎舞踊の大曲「春興鏡獅子」の新たな表現に挑戦する。
常に伝統を大切にしながら、自身の新たな表現を模索し続ける菊之助丈は、今回の「春興鏡獅子」をより掘り下げさらに進化するため、岡山県井原市立田中美術館を訪れ、平櫛田中(ひらくしでんちゅう)作「鏡獅子試作裸像」に触れる。
これは、平櫛田中の代表作として有名な、国立劇場のロビーに飾られている高さ2メートルの彫像「鏡獅子」の発表に先立って、院展に出品された三体の試作①頭像、②裸像、③全身の1/4スケール像の一体だ。
この裸像を作るきっかけとなったのは、「春興鏡獅子」を当り芸とする六代目菊五郎からの「自宅に飾るために」という作品依頼だった。
田中は、25日間歌舞伎座に通いつめ、毎回違う角度から六代目の舞姿を観察、どのポーズを彫像にするかを六代目と相談して決めると共に、アトリエで六代目にポーズをとってもらい下帯一枚の裸形の試作を行った。そこには、九代目團十郎に踊りを習うのに裸で教わり、自分も弟子に裸で教えたという六代目菊五郎の、筋肉や骨格のあり様が名工の手により生々しく掘り出されいてる。
菊之助丈は、この試作を丹念に観察することにより、六代目が「春興鏡獅子」で行おうとした表現のあり方に近づき、そこから、自分の「春興鏡獅子」を進化させたいという強い思いを抱いている。
番組は、今、最も華のある役者と言われる菊之助丈の自宅稽古場、舞台稽古、本番に密着し、その魅力にせまる。
(三室雄太郎)
P&D
三室雄太郎
撮影
柴田義政
VE
宮脇直樹
VE
宮脇直樹