夢と絆のインターハイ2019「バスケットボール男子決勝」
再放送
2019年9月2日(月)17:00~17:50
9月10日(火)10:00~10:50
※NHKオンデマンドで放送翌日から2週間配信する「見逃しサービス」もあります。
サニブラウン・ハキームの9秒97は、彼らにはさほど驚きではなかったかも知れない。「夢」はそれなりの準備をしていればいつか叶うもの。
一般的に若者は、運動テストの成績が低下して「ひ弱」だと嘆きの対象になっているようだが、スポーツ選手に関してはむしろ逆の傾向にあると思う。ワケあって私には体育教師の友人が多いのだが、今どきは公立高校の部活にもいわゆる専属トレーナーが溢れているらしい。フィジカルトレーナーにメンタルトレーナーに栄養士。専門的な知識を学ぶ場所が増えることで、それを職業にしたいと考える人も同じく増え、かと言ってすぐに仕事にありつけない場合は、経験と称してボランティアで高校に足を運ぶ。極端な例だと、部員2人につきコーチが1人いるといった、どこかの学習塾のような状態になっている高校もあるようだ。
砂埃舞うグランドを部員全員で何往復もダッシュしたのは、精神力と連帯感を高めるためだったのだと、80年代に高校時代を過ごしたおじさんには良い思い出であるが、いまの高校生はスマホのおかげもあって放っておいても連帯感だけは強い。そこへ、乳酸値を計り、GPSで運動量を計測し、持っている力を効率良く引き出す術を教えてもらえる。アニマル浜口もアントニオ猪木も口を挟めない。気合いと闘魂は試合本番で必ず役立つのだが、練習で鍛えるのはもっと物理的な能力だ。
去年、番組で取材させてもらったハンドボールの強豪校も専属コーチが充実していた。彼らはみな大人だったので、高校生の汗を描く番組としては取り上げにくかったが、今年取り上げるバスケットボールは事情が違う。部員の中にデータ分析班が存在し、試合中に相手の動きを数値化して次の作戦に役立てているのだ。データ化が進むバレーボールの影響を受け、5年前から分析用のアプリも登場し、誰でも利用できる。高さ3mのダンクシュートで派手に立ち回る第二の八村塁も気になるが、涼しい顔で数㎝指先をスライドさせる高校生にも目を向けたい。八村も自分を作ったと度々口にする高校バスケボーイズの「絆」を確かめる。
(岸 枢宇己)
D
永田曉児
P
岸 枢宇己
制作P
伊藤恵
サブD
新藤哲也
サブD
新藤哲也