NHKハイビジョン特集 地球最北の村に生まれて~あるイヌイットのビデオ日記~
デンマーク領グリーンランド北部に位置する「シオラパルク」。
人類が自発的に定住した集落の中で、最も高緯度にある人口40人の「地球最北の村」だ。シオラパルクは、北極点からわずか1200、南極の昭和基地よりも極点に近い。一年の平均気温は零下6~7度、冬は零下40度以下にもなる。海は8ヶ月間凍結し、大地のほとんどは十万年前の氷に覆われている。
またシオラパルクでは、一年のうち、約4ヶ月は全く太陽が沈まない白夜、そして4ヶ月は全く太陽が姿を見せない極夜となる。この地に1972年から暮らしている日本人がいる。大島育雄さん(65歳)。25歳の時登山の調査で現地を訪れ、極地の生活に魅せられて移住した。1男4女の5人の子供を育て上げ、今では孫が5人いる。
シオラパルクと大島さん一家を、1年間長期取材したい。その一念でこの企画はスタートした。莫大にかかってしまう取材費を抑えるために、ひねり出したアイディアが、ビデオ日記。育雄さんの息子ヒロシさんに小型カメラを渡し、イヌイットの目線で自分たちの生活を撮ってもらう。
賭けだったこのアイディアが功を奏した。去年5月、ヒロシさんの撮った映像が初めて送られてきたときの衝撃は、忘れがたい。春の到来を告げる渡り鳥アッパリアスの取り方を、息子イサム君(9歳) に教えながら撮影している。それは、被写体との距離感も、カメラポジションも、空気感も、日本人のカメラマンには決して真似のできない生生しく、瑞々しい映像だった。
今回は、去年9月に放送した春・夏編の続編。全く太陽が出ない極夜の暮らしと、初日の出、希望の春を放送します。