彼女はただひたすら、たった一人で青しかない海の底を目指す。人魚のようなフィン（足ひれ）をつけ、肺に溜めた空気だけでどれだけ潜れるかに挑戦する。美しい容姿もさることながら、イルカのように体をしならせ潜っていく姿はもっと美しい。競技を始めて2年で、58mだった記録を83mまで更新、「20年に一度の逸材」と呼ばれる福田さん。3年目の今年、彼女が目指すのは103mの世界記録更新。深海に魅了され、命を落とすフリーダイバーは多い。でも危険と隣り合わせにしながらも、彼女は更なるグランブルーの世界を目指して潜り続ける。「陸での生活よりも、海の中にいる自分が本当のように思う」。どうして潜るのか？という問いは、彼女の中にはない。映画「グランブルー」のモデルとなったジャック・マイヨールを彷彿とさせる、深海で戦う福田朋夏さんを追った。
（池田一葵）