BS歴史館 2013年4月放送分
4月からオープニングCGが新しくなります!!
「歴史とは現在と過去との対話である-」
かつてイギリスの著名な歴史家E.H.カーはこう記した。
目まぐるしく変貌する現代社会。政治、経済、文化、ミクロなレベルでは家族、男と女・・・。急速に展開するグローバル化やボーダレス化は、時計の針を猛スピードで進め、現代を生きる私たちはどこに立っているかさえわからなくなる。この時代をどう生き抜けばいいのか・・・明快な答えはない。
しかしひとたび、過去に眼を転じれば、時代時代にまさしく目まぐるしく変わる事象にリアルタイムで向き合い、悩み、格闘した先人たちの等身大の「歴史」がある。
「古代史」は、残っている資料がほとんどない。その分、想像力豊かに語ることができる。
また、ファンの多い「戦国時代」は、数々の戦いを記した歴史書があるが、それらは後世に書かれたものが多い。
だからこそ“逸話”として、存分に楽しむとことができる。
・・・と、歴史の楽しさを自分に言い聞かせながらも、どの時代も、“史実”を今に伝える資料が無い時、それはそれは、頭を悩ますことである・・・と、日々、台本執筆に勤しむディレクターたちの背中は語っている。私は、お茶をすすりながら、そんな彼らの背中に向かって、心の中では手を合わしているのである。
となると、記録が残っている近代史!となるわけだが、もちろんご存知の通り、記録があるならあるで、何かと確認事項が増えてくる。ということで、どの時代も、それぞれの悩みがあるのでした。
さて、「ミッドウェー海戦」をテーマに製作中の、ある日の電話。
「“空母赤城”のイントネーションは、地名の“赤城”とは違うからね!」
その人の電話は、専門用語のイントネーションを私に伝える。「兵装転換は?」「へーそーてんかん。なだらかに読んで」。次から次へと出てくる、用語情報を伝える電話は、なんとも心地よい。「じゃあ、ジョンストン島は?」と聞くと「ジョンストン島は、ジョンストン島だよ!!」『あ、やり過ぎた・・・』
顔も知らないその人物の正体は、過去数々の番組を担当した“時代考証人”。
テレビの現場に入って間もない頃、この業界の細分化された役割の多さに驚く日々だった。そこから5年が経った今、この人からの電話は、久しぶりの衝撃だった。
この世界、まだまだ底知れず。(五鬼助洋美)