9月、同期だった小林正樹が数日間に亡くなり、葬儀の日の夜のこと。その日もプレビューを終え、スタッフと分室近くの店で夕飯。喪服のままだし正樹のことを考えどうしてもお通夜のような席になる。同期で20年以上、同じ夢見て同じ会社入って別々の現場で同じように徹夜して同じように少しずつ場を広げていった。一緒の仕事は数えるほどしかないし、最近は互いの番組の感想を立ち話で話す程度だった。でも、同じように本気でテレビに汗かいていた。そんな同期がいなくなった現実に、自分がやっている仕事がふと虚しく、珍しく後ろ向きになった。何のために徹夜したりいろんな無茶しながら誰のために何作ってんだか…。
そんな時、奥のテーブルで見ず知らずのサラリーマンたちがサラメシを話題に盛り上がっていた。『サラメシで見たんだけどさぁ…』『あの店サラメシで前…』という楽しげな声。
正樹が、お前は間違えてないよと、上の方から云ってくれてる気がして、素直に嬉しかった。
（松葉直彦）



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