サラメシ 2022年3月

サラメシ 2022年3月

昨秋、スパイラルで開かれた「岡康道展」に行った。一昨年の夏に急逝したクリエイティブディレクター・岡康道さんの追悼展だ。広告界のレジェンドを偲ぶ会はそれはそれは盛況だった。TUGBOATの皆さんが創り上げたシンプルでいて優しさにあふれた展示の中、思いのほか長い時間を費やしたのが言葉のコーナー。円形スペースの壁がぐるっと、岡さんの言葉で埋め尽くされ、その一言一言に仕事への真摯な向き合いと、愛とユーモアと辛辣さが感じられた。彼の言葉の「広告」や「CM」を「テレビ」に置き換えながら、2時間くらいその場を離れられなかった。たくさんの金言の中、一番刺さった一言がある。
「常に新しい作品を世の中に発信し続けていくための秘訣は、
『機嫌』がいいこと。」
実は年末、いろいろとうまくいかないことが重なり、かなり機嫌の悪い正月を過ごした。で、そのまま機嫌の悪い仕事始めを迎えそうになっていたところ、ふとこの言葉を思い出して救われた。
思えば岡さんは、いつも機嫌のいい人…もしくは機嫌良さそうに生きている人だった。実は5年ほど前、本誌の特集で岡さんに取材させてもらったこと。デジタル全盛のこの時代に、我々テレビマンユニオンはなぜ紙でのこの広報誌を続けるのか?という自問自答なお題を端緒に、紙とデジタル、本の生き残り、組織でのクリエイティブ、タテ型ディスプレイ、CMやテレビ番組はオールドメディアの名のもとに衰退してくのか…などなど、半ば雑談のようなとても楽しい取材だった。その時も岡さんは、すこぶる機嫌よく、開口一番「サラメシいいよね~!あれ一生続けられるじゃん!」と迎えてくれた。
あれがどこまで本音だったか…今となっては確かめようもないが、ただのリップサービスとは思えなかった。誰かに何かを伝える大先輩からもらった、とんでもない金言を胸に、2022年のサラメシは、これまで以上に機嫌よく、12年目を走ろうと思います。
(松葉直彦)

【今月の放送】※木曜日 昼12:20~の再放送は、23分の短縮版です。

シーズン11 #33「郵便局のカレー▽橋田壽賀子の鉄板焼き」3月1日(火)19:30~19:57
再放送 3月6日(日)あさ 8:25~8:52
高知県土佐市。退職した前郵便局長が作るカレーが、後輩の郵便局員たちに好評だ。カレーはもちろん、自ら手作り。ほぼ月イチペースで、みんなの楽しみな昼食になっている。カレーを通じた、心温まる交流とサラメシを拝見!▼「おしん」など、国民的ドラマを生み出した、脚本家・橋田壽賀子。橋田さんが40年近く通った、熱海の鉄板焼き店の店主との交流をお届けします。▼サラメシ海外特派員はニューヨークから!

シーズン11 #34「気仙沼 着物工房の社食ランチ!▽大島康徳のフレンチ」3月15日(火)22:00~22:29
再放送 3月20日(日)あさ 8:25~8:52
宮城県気仙沼市にある着物の肌着などを作っている工房。社長の髙橋和江さんは、着物産業の普及に努め、今の人たちに、より着物に親しんでもらおうと着物の肌着の開発などを行っている。髙橋さんの工房も東日本大震災の被害に遭い、復興した。今は、社員食堂も充実させ、働きやすい環境づくりに努めている。髙橋さんの思いがこもった、社食でのサラメシを紹介。▼プロ野球選手、監督として活躍した大島康徳の愛したフレンチとは

再放送のお知らせ

決まり次第、お知らせいたします。

サラメシ英語版

『Lunch On!』
※NHK WORLD 毎週木曜 13:30~、19:30~、金曜 1:30~
160の国と地域で衛星放送やケーブルテレビを通じて視聴可能。

3月 3日 「最後の母弁」(再放送)
3月10日 「父の弁当ライフ」(再放送)
3月31日 「居酒屋店長の絶品まかない」(再放送)

ナレーション

中井貴一

プロデューサー

松葉直彦  松尾明美 

演出スタッフ

今関裕子   石井大介
田中ナオト  金井さおり
北沢建一   森田遥平
大沼奈保子  塩田明里   
横川僚平   薗田拓郎   
呉卓然    野口眞    
佐藤優衣   中窪淳二

アシスタントプロデューサー

宮﨑和子

リサーチ

冨田紀子

構成

たむらようこ 服部真由子

音効

井田栄司