サラメシ 2023年4月
油断した。やっぱりテレビはちゃんと攻めてないと…と反省したのは、今年正月明けのこと。山手線が丸2日かけ、一部運休しての大工事が渋谷駅で行われた。「サラメシの取材入ってないかな」「72時間かサラメシ密着してる気がする」などSNSのコメントでサラメシの文字を見つけ、喜ぶよりも先に、そんな準備なんて一切していなかったことに気づいたのだ。まさに油断。
様々なプロが4000人も動員され、山手線のレールを3m近くも人力で移動させる…、そんな大工事を丸2日で終わらせるための綿密な計画もある…、その日報道された記事をあれこれ読むと、そこは働くオトナだらけ。サラメシが大好物な現場だった。
コロナ禍の3年、いろんな制限や不自由に気づかれずに番組を維持すべく、あの手この手と繰り出していたつもりだったが、実はディフェンス一辺倒だったのかも知れない。以前は、あの会社が100周年だ! 秋にはこんなイベントが! 来年アレが完成する!などと、どんな現場にもその裏には働くオトナがいる…と、貪欲だったのに。それじゃあ点は取れない。やっぱりエンタメは攻めていかないと!
最近、放送作家・鈴木おさむさんのインタビュー記事で、サブスク配信全盛に見える今、テレビの良さとは? と問われ、「生活の中で風景になれることかな…」とのコメントに妙に納得した。たしかにテレビは時計代わりでありカレンダー代わりだった。いまも季節の移ろいや時の流れ、時代の空気感のようなものが感じられる。NetflixやAmazonPrimeなど配信コンテンツでは、たぶん必要とされない役割に感じるが、テレビにはきっとこれからも必要だ。
どんな切り口で、どんな手法で、僕らの暮らしている“いま”を感じさせられるか? 思えばサラメシでも、事前の準備が相当面倒なのに、祇園祭やねぶた祭りなど大きな祭りを取材したり、オリンピックの舞台裏でディレクターたちが右往左往した。暮らしの中の風景や季節…“いま”を、伝えたかったからだ。まだまだすべてがコロナ禍以前のように…とはいかないだろうが、久しぶりに攻めの姿勢を思い出し、これからも“いま”を感じられるテレビでありたいと思う、13年目のサラメシです。
(松葉直彦)
今月の放送
シーズン13 #1 「スリランカカレー▽ラスベガス出張メシ▽古葉竹識」
4月6日(木)19:30~19:57<関西地方のぞく>/4月9日(日)あさ 8:00~8:23<関西地方のみ>
再放送 4月13日(木)ひる12:20~12:43
茨城県にある鉄工所の創業者、スリランカ出身のチャミルさん。ここで働く多くのスリランカの人たちに仕事の励みになればと考え、賄いは本格的なスリランカのカレーを提供。外国人が働きやすい職場を目指すチャミルさんの思いを伝える。▽ラスベガスで開かれた食の展示会。日本食の魅力を海外の人たちに伝えるようすをお任せカメラを託して、ランチと共にお届け!▽赤ヘル黄金期を築いた古葉竹識の愛した昼メシとは
シーズン13 #2 「教壇に立つ現役82歳▽毎日親子弁当▽日テレでクイズ」
4月13日(木)19:30~19:57<関西地方のぞく>/4月16日(日)あさ 8:00~8:23<関西地方のみ>
再放送 4月20日(木)ひる12:20~12:43
大分県中津市の高校に勤める石田さんは82歳の教師。今は簿記などの商業を教えている。教師歴は、のべ52年。昼食は長年、妻の手作り弁当だ。栄養のバランスだけでなく、おかずも豊富な弁当を元気に働く石田さんとともに伝える▽旅好きな親子の交流を娘が高校生のときから父のために作っている“毎日親子弁当”を通じてお届け▽「クイズ!私のランチ」は、日テレ受付ロビーから
シーズン13 #3 「新線開業!安全を支える運転士▽技の皿作り!回転ずし」
4月20日(木)19:30~19:57<関西地方のぞく>/4月23日(日)あさ 8:00~8:23<関西地方のみ>
再放送 4月27日(木)ひる12:20~12:43
舞台は相模鉄道、通称「相鉄」。東急との乗り入が始まる3月18日を控え、新線開業区間の運行に向けた習熟訓練が行われた。乗客を安心、安全に運ぶための訓練を指導運転士の活動を通じて伝える。盛りだくさんの社食も拝見▽身近な外食、回転ずし。年々、ネタや店など進化し、皿も進化している。石川県加賀市の製造会社では、さまざま技術を駆使して、皿のデザインなど工夫、ニーズに対応している。お弁当ハンター阿部了がリポート
再放送のお知らせ
シーズン12 #1「都心ホテル 食堂で若手育成▽稚内のスーパー」
4月6日(木)ひる12:20~12:43 (初回放送日: 2022年4月7日)
今回はアンコール放送。国内外の賓客をもてなしてきた都心の老舗ホテル。2021年8月から従業員の食堂を自営化し、食品ロスの削減や、従業員の働きがいなどに取り組んでいる。ベテランシェフの松浦永幸さんが中心となり、若手料理人と魅力ある料理を日々、試行錯誤。ホテルで働く人たちの胃袋を支える食堂のサラメシを拝見!▽北海道稚内市。長年地元に根づいたスーパーに勤める若者と78歳のベテランスタッフとの交流をお届け
サラメシ英語版
『Lunch On!』
NHKワールドJAPAN
木曜13:30~、17:30~
金曜1:30~、8:30~
4月 6日「まるごと香川SP!うどん県の魅力はうどんだけじゃない」
4月13日「社長がシェフ!?ユニーク社食 ▽手の感覚を頼りに」
4月20日「新米ガラス職人奮闘」(再放送)
4月27日「サラメシ海外特派員SP」(再放送)
ナレーション
中井 貴一
プロデューサー
松葉直彦 松尾明美
アシスタントプロデューサー
宮﨑和子
構成
たむらようこ 服部真由子
リサーチ
冨田紀子
音効
井田栄司