食彩の王国 2011年6月
東日本大震災のショックから、少し時間が経ちました。しかし、被災地の人々の折れた心を回復するのは容易なことではないでしょう。家が損壊していても、放射能の危険があったとしても、元の暮らしに戻りたいという気持ちは押さえ難いものがある筈です。「地縁・血縁・社縁」社会の一員であることを失えば、人は拠り所をなくすのです。そのことを知っているからこそ、人々は、深い痛みを共有できるのだと思います。日本中で、イベントの中止、旅行の延期、飲み会も控える気分が蔓延します。この「自粛」ムードが、被災者を悼む気持ちを共有することなのでしょう。その流れに逆らってみても、心が弾みません。そんな時は抗わず、静かに過ごすしかないのです。震災の前に戻すことを急ぐより、失ったものの意味を考える必要があります。人にとって大切なものとは何か。自分が生きてきた時間を巻き戻して、考えてみてはどうでしょう。「困難なものごとは時が解決する」とは、そのことだと思えてなりません。どうです、先ず家族で食卓を囲むことから始めませんか?「食彩の王国」が応援します。 (土橋正道)