食彩の王国 2011年11月
子供時代、駄菓子屋の誘惑は避けて通れない道だった。わずかな小遣いで買うものは質より量。「コッペに○○つけてぇ」と頼むと、四角い缶からマーガリンやジャム、ピーナツバターを選んで、縦に切れ目を入れたコッペにべったりと塗りつけてくれた。「もうちょっと⋯」と言えば「はい、おまけね」っと少しつける真似して緑色のブーブー紙にくるんで渡してくれた。いつから煮ているのか、三角形のこんにゃくをみそ壷に入れたおでん。七輪の鉄板で焼き、花かつおをかけて新聞紙に乗せてくれたお好み焼き。麩菓子、ポン菓子、しるこサンド、前田のクラッカー、渡辺のジュースの素、ダンゴのように串に刺したミニカステラ、透明なガラス棒に入った色とりどりの寒天ゼリー。一気に吸わず、油断してるとツルと滑って地面に落ちる。その絶望感は、この世の終わりだ。色の着いたにっき紙、小さな木箱にミニチュアのように並ぶさくらんぼ餅、毒々しいチクロ棒⋯。思い出せば、そのときの匂いや友達の顔、死んでしまった駄菓子屋のおばちゃんも生き生きと甦る。不衛生だからやめなさいと、親に止められた禁断の味。大人になっても、好きな食べ物には思い出がつきまとう。食材の思い出には、同時代を共に生きた物語が詰まっている。(土橋正道)
語り
薬師丸ひろ子
11月のテレビマンユニオン 担当回は・・・
≪小麦粉≫
大阪名物、たこ焼き、お好み焼きにうどんおの3つの共通点、それはどれも小麦粉で出来ていること。小麦粉のことを粉もんと呼んで、愛してきた大阪。今回は、大阪の粉もん文化を紐解きます。
大阪には、一家に一台たこ焼き器がある。ご飯のおかずは、お好み焼き。こんな話しを聞いたことはあるのですが。本当でしょうか?88歳のおばあちゃんから受け継がれる、おふくろの味は粉もんの味。懐かしい仲間の顔もお見逃しなく。
(室谷有美)
≪ちくわ≫
うま味たっぷり、ヘルシーなちくわが主役。主食に!おやつに!おつまみに!
あと、もう一品と思ったとき、手軽に料理ができるちくわが大活躍!
これから寒くなる季節、おでんに入った出汁の染みたちくわを食べれば、心まで温まります。
産地愛媛県では1本1本丹精こめて作られる、手握りちくわがあります。郷土料理「鉢盛」には、かかせません。行事に作るこの料理で”人の輪”が広がります。どこか懐かしいちくわの物語をお贈りします。
(二階堂茜)
放送予定
OA日 テーマ 担 当
#399 11月 5日 : 小麦粉 D椎葉百合子
#400 11月12日 : あずき ※Vivia
#401 11月19日 : ちくわ D井口奈美
#402 11月26日 : ブリ ※Vivia
P
土橋正道
制作P
那須恭子
AD
室谷有美
二階堂茜
中村優希