食彩の王国 2011年12月
子供時代、駄菓子屋の誘惑は避けて通れない道だった。わずかな小遣いで買うものは質より量。「コッペに○○つけてぇ」と頼むと、四角い缶からマーガリンやジャム、ピーナツバターを選んで、縦に切れ目を入れたコッペにべったりと塗りつけてくれた。「もうちょっと⋯」と言えば「はい、おまけね」っと少しつける真似して緑色のブーブー紙にくるんで渡してくれた。いつから煮ているのか、三角形のこんにゃくをみそ壷に入れたおでん。七輪の鉄板で焼き、花かつおをかけて新聞紙に乗せてくれたお好み焼き。麩菓子、ポン菓子、しるこサンド、前田のクラッカー、渡辺のジュースの素、ダンゴのように串に刺したミニカステラ、透明なガラス棒に入った色とりどりの寒天ゼリー。一気に吸わず、油断してるとツルと滑って地面に落ちる。その絶望感は、この世の終わりだ。色の着いたにっき紙、小さな木箱にミニチュアのように並ぶさくらんぼ餅、毒々しいチクロ棒⋯。思い出せば、そのときの匂いや友達の顔、死んでしまった駄菓子屋のおばちゃんも生き生きと甦る。不衛生だからやめなさいと、親に止められた禁断の味。大人になっても、好きな食べ物には思い出がつきまとう。食材の思い出には、同時代を共に生きた物語が詰まっている。
(土橋正道)
語り
薬師丸ひろ子
12月のテレビマンユニオン 担当回は・・・
≪ごぼう≫
野菜の中でも食物繊維がトップクラス!ポリフェノールやオリゴ糖が多いので、体を温め、美肌効果もあるのが「ごぼう」です。女性にうれしい「ごぼう」が今、注目されています。
ごぼうは、おしゃれなマリネにも、子供が喜ぶビスケットにもなるんです。母が生み出したアイディア料理。とっても簡単に真似できます。そして、話題なのが「ごぼう茶」です。皆さんは飲んだことありますか?手間を惜しまず作るごぼう茶は、母から教わった知恵で生まれたものでした。今年は、ごぼうを食べて冬支度を始めてみませんか?
(室谷有美)
≪ちくわ≫
日本一カレイを食べている鳥取。煮つけや干物、刺身はもちろん、春巻きや、ハンバーグにもカレイが使われ、毎日のようにカレイが食べられています。寒さが厳しくなるこれから、カレイ鍋は暖まる一品です。今が旬のアカカレイは大きな子を持っています。その子を贅沢に使った季節限定の郷土料理「子まぶり」が地元の人は大好き。
カレイはふるさとの味、お袋の味として愛されています。
鳥取出身 水木しげるさん。妖怪たちを生み出した裏に隠れた物語。貧乏時代を支えてくれたのは、実家から送られてくるカレイの干物で妻布枝さんが作る金欠料理でした。
家族のためにお母さんの知恵がいっぱいのカレイ料理。庶民の味方、カレイの知られざる物語を紐解きます。
(二階堂茜)
放送予定
OA日 テーマ 担 当
#403 12月 3日 : ごぼう D三田香織
#404 12月10日 : 大根 ※Vivia
#405 12月17日 : カレイ D岡瑠里子
#406 12月24日 : ゆず ※Vivia
プロデューサー
土橋正道
制作プロデューサー
那須恭子
アシスタントディレクター
室谷有美
二階堂茜