食彩の王国 2013年5月

食彩の王国 2013年5月

通勤電車で、熱心にスマホの画面とにらめっこしている人々。画面を指でなぞったり、とんとんしたり、気にしてるわけじゃないけど気になるからしょうがない。つい最近まで、イヤホンから漏れてくる音楽のカシャカシャいう音に感情が毛羽立っていたのに、車内でなにか食べるのもあたりまえ、化粧も念入りになったし、床に座り込む学生もいる。そこを自分だけの空間だと思って憚らないのだろう。
下車すれば、スマホを前にかざしてずんずん進んでくるからあぶない。その幼児性と、手のひらに最先端のメディアを操っている危うさに愕然とする。ああ、と彼らを見送って、誰に向かって何を言えばいいのかと呆然としてしまう。
そう言えば、ホームでこうもり傘を振り回すゴルフ親父も、ところ構わず漫画を読み耽る連中も淘汰された。そう思えば、これも一過性のものなのか。
ところで、情報とはなにか。テレビジョンは一方的に発信する側だ。受け取る側が欲するもの以外は、情報にはなり得ない。たまたま見た時にしっかり捉まえて、見続けさせて、後で「ああ、得したかも・・・」と思わせるものを、丁寧に作り続けるしかないのだね。
(土橋正道)


語り

薬師丸ひろ子

5月のテレビマンユニオン担当回は・・・

≪ もち米 ≫

 子どもの日直前の放送で、端午の節句に食べられる「もち米」がテーマになりました。
といっても、うちに男の子はいなかったので端午の節句をやった記憶はなく
担当して初めて、この日には「ちまき」を食べるという習慣があるということを知りました。
 いや、待て、「ちまき」。そういえば鹿児島の祖母から年に一回、手作りのちまきが送ってきたような……。もしかして端午の節句にあわせてだったのかも。何も知らず食べるだけの孫で申し訳ない気持ちでいっぱいです。
 取材した新潟のご家庭ではお嫁さんとお孫さんがおばあちゃんのちまき作りに初挑戦しています。それから、横浜中華街では、母が作っていた中華ちまきの味を復活させた息子さん、おばあちゃんが釜で炊いてくれたもち米で餅を食べたお米好きのフレンチシェフ、両親が作ったこだわりの素材で赤飯を炊くミシュランひとつ星の料理人と、もち米を通して親から子へ
伝わる親子の物語を聞くことができました。
 私も、次の世代に伝えられるようにそろそろ祖母のちまきの作り方を習いにいかないと。
(徳丸 あす香)


≪ ホタルイカ ≫
 
 キラキラ光る姿は、まるで竜宮城の乙姫様が両手に提灯さげてやってくよう・・・
富山湾の漁師は、こう口にしています。
今の時期、漁師が待ちわびる「ホタルイカ」が主役です。
 足の早いホタルイカは、時間との勝負!活きで届けるために、ホタルイカが住んでいる海洋深層水の中に入れて運ぶこと。これ実現するために、努力と工夫があったのです。
光で会話するホタルイカ。
 一体、私たちにどんな物語を届けてくれるのでしょう。ホタルイカの有数の水揚げを誇る富山よりお送りします。
(二階堂 茜)

放送予定

OA日           テーマ        担 当

#475  5月 4日  : もち米        田中由美
#476  5月11日  : 桜鱒         ※Vivia        
#477  5月18日  : ホタルイカ      吉田夕日  
#478  5月25日  : わさび        ※Vivia

土橋正道

三田香織  
室谷有美
吉田夕日
植田裕久
田中徹    
伏谷毅彦
田中由美

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二階堂茜
徳丸あす香