食彩の王国 2013年6月放送分
最近、永六輔さんと「遠くへ行きたい」の新作の打ち合わせをした。昭和8年生まれの永さんは、今年80歳。パーキンソン病や前立腺癌と闘病中で、車椅子で移動しているが、その姿のまま番組を作りたいと意欲的だ。今できる表現や、今しかできない表現に前向きなところが素晴らしい。永さんは打ち合わせの最後に、
「つちはしさん、おもしろくて楽しくて、ちょっと教養があって、気品のあるものにしましょう」と言った。
テレビマンユニオンの番組作りのコンセプトは、たった一つ、「おもしろくてためになる!」ということだ。「食彩の王国」も、実はその精神で貫かれてきた。そして、食材をめぐる歴史的なドラマや、食材から見える家族の愛情、人生のあやが隠し味になっている。言わば「日本人は何を食べてきたか」を読み解くということなのだが、おもしろく見続けて、いいものを見たなという読後感が残るように努力している。さあ、そこでだ。永さんに突き付けられた「気品のあるものにしましょう」という一言。気品とは、いつのまにか身に付くものだというところが悩ましい。10年目からこの先に向けての課題ができた。
(土橋正道)
語り
薬師丸ひろ子
6月のテレビマンユニオン 担当回は・・・
≪ハチミツ≫
6月1日放送の食彩の王国は、“はちみつ”です。
焼きたてのトーストに、ホットケーキにはちみつがほんの少しかかっているとたまらなく幸せになります。
はちみつは世界最古の天然の甘味料で、昔から人々ははちみつを楽しんできたのです。
ということで、今回は世界中で愛されるはちみつ料理を紐解きます。
フランス、スペイン、ギリシア、ニュージーランド、韓国とはちみつで世界をめぐります。そして、日本。
実は日本では砂糖やみりんという甘い調味料があったため、はちみつはあまり使われていませんでした。
今回はそんな和食に革命を起こすべく、「ハモ」「トマト」「賀茂なす」とはちみつの料理を作っていただきました。
世界中で愛されてきた甘~いはちみつの魅力に迫ります!
<徳丸 あす香>
≪ アワビ ≫
6月15日の放送は、旬を迎えた伊勢の「アワビ」が主役です。
2000年も前から伊勢神宮に奉納されて続けられているんです。
そのアワビを獲るのは、海士・海女。なんとスーパー海女さんは、73歳の現役!命懸けで海に潜ります。
獲れたてのアワビは格別。海士・海女のとっておきの楽しみ方とは!?
そして、祝い事に欠かせないアワビは、熨斗(のし)の原型だったのです。
乾燥したアワビは、よく伸びることから長寿、永続きしますようにと願いが込められています。
さらに、フレンチシェフのアワビ料理は、夫婦の思い出の味です。妻へ、子供へ愛情の詰まった料理とは!?
20年に一度の式年遷宮を迎える伊勢神宮が鎮座する、今注目の“伊勢志摩”を舞台に、古から食べられ
続ける憧れの味、アワビの魅力を紐解きます。
<二階堂茜>
≪ 山椒 ≫
6月29日の放送は“山椒”がテーマです。
香りというのは不思議なもので、印象的なものは文字を見ただけで、話を聞いただけで、その香りと記憶を呼び起こさせます。小さい頃、田舎の庭に山椒の木がありました。その葉をとってぱんっ、と叩くと爽やかないい香りがしたので、遊んでいました。 一口口に入れるとぴりっとして、なんて大人な味!? と食べられず味よりも、香りが今でも真っ先に思い浮かびます。
山椒は日本で縄文時代から食べられてきたそうで、きっとこの香りをいろんな時代の日本人が楽しんだことでしょう。そして、中国、韓国、日本だけで食べてきた山椒ですがその香りに注目して、今フレンチでも山椒が使われるようになり、さらにはデザートにもなっているとか!
山椒デザート……全く味の想像ができません。これからの取材が楽しみです。
<徳丸 あす香>
放送予定
OA日 テーマ 担 当
#479 6月 1日 : ハチミツ 三田香織
#480 6月 8日 : シャコ ※Vivia
#481 6月15日 : アワビ 室谷有美
#482 6月22日 : 牛タン ※Vivia
#483 6月29日 : 山椒 下高呂佳子
P
土橋正道
D
三田香織
室谷有美
吉田夕日
植田裕久
田中由美
下高呂佳子
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二階堂茜
徳丸あす香