食彩の王国 2015年3月
子供の頃から、からし菜の漬物を食べると春が来たなぁと感じる。芽かぶのぬめりもいいし、味噌汁に入れたハバ海苔の香りも捨てがたいが、やっぱりからし菜にはかなわない。白いご飯に釜揚げシラスを載せて、その上に細かく切ったからし菜を散らして、海苔をちぎって掛ける。そこへ醤油をさっと振れば、即席の「春」どんぶり。一口食べれば、鼻に抜ける海苔の香とともにからし菜の辛味と堅めの歯触り。それを下支えする淡い味わいのシラスと醤油の絶妙なマッチング。思わず「あー!」と声を上げたくなる。
昨年漬けた白菜の発酵がすすみ、しんなりとして酸味が増す。これはまた古漬けの味わいで滋味深い。塩出しして、細かく切って鰹節を掛けて食べるのもおいしい。しかし、そこへ彗星のように現れたからし菜に目が覚める。ああ、春だ。子供たちに「春」どんぶりを勧めても、「ご飯に色々な物を載せるのはきたなくてやだ」と言ってたのに、いつの間にか父親と同じことをしているから可笑しい。
旬の概念を失って久しいが、旬を意識することは楽しい。「食彩の王国」は、旬の食材の物語を探して日本中を旅しています。
(土橋正道)
語り
薬師丸ひろ子
放送予定
OA日 テーマ 担 当
#568 3月 7日 : 鰆 ※VIVIA
#569 3月14日 : 新玉ねぎ 田中由美
#570 3月21日 : マグロ ※VIVIA
#571 3月28日 : 車えび 徳丸あすか
3月のテレビマンユニオン 担当回は・・・
《新玉ねぎ》 「春一番!の贈りもの 瀬戸内海 新玉ねぎ物語」
瀬戸内海に浮かぶ玉ねぎの島・津和知島。
ここで作られている新玉ねぎは、とっても甘いんです。島の元気の源は玉ねぎ!
簡単で美味しいアイディア料理を紹介します。
新玉ねぎの季節を心待ちにしていた料理人たち。贅沢に丸焼きに!細く切ればそうめんに!?なんと、プリンにも!?
新玉ねぎが、主役に大変身します。甘さと香りを活かした
料理に舌鼓・・・。春を先取り!新玉ねぎの物語をお届けします。
(二階堂茜)
《車えび》「車えび 花咲く美味しさ 車えび踊る天草」(仮)
日本人は無類のえび好き。一人あたり消費するエビは、年間およそ3キロ!
そんな日本人が夢中になるえびの中でも、最も美味と名高いのが高嶺の花「車えび」です。プリッとはじける身の食感に、上品な甘みが魅力の車えびは和・洋・中と、
活躍の場を選びません!ところが、天然の車エビが出回るのは夏場の限られたシーズンだけ。年中美味しい車えびを味わいたい…と先人は養殖を始めたのです。
今回は養殖発祥の地・熊本は天草を訪ね、車えびに情熱をそそぐ人たちの物語をお届けします。
なんでも、老舗の天ぷら屋ではえびが無いと帰ってしまう客も居るようで…
日本人は本当にえびが大好きなんです。
もう一度言います。日本人はえびに夢中です。他意は無いので、あしからず。
(前夷里枝)
プロデューサー
土橋正道
ディレクター
田中由美
阿部賢実
植田裕久
徳丸あす香
前夷里枝
三田香織
下高呂佳子
ほか
リサーチ
北口由子
アシスタントディレクター
二階堂茜