食彩の王国 2015年6月
子どもの頃、よく夕飯の買い物に行かされた。醤油や油、味噌、酒などは量り売り。豆腐も鍋を持って買いに行った。八百屋ではおじさんが樽のヘリに乗って、X字型の棒を力ずくに前後させてさつまいもを洗うのが面白い。かつては乾物屋があり、煮干、ちりめんじゃこ、棒鱈、身欠きにしん、スルメ、干し海老、鰹節、板昆布、干しわかめ、切干大根、干瓢、干ししいたけ、芋がら、鷹の爪、乾麺、高野豆腐、寒天、小豆、大豆、落花生などを扱っていた。思い浮かべるだけで、その一つずつに思い出の味が甦る。味噌汁の出汁を取った煮干も食べたことや、もう削れないほど小さくなった鰹節をしゃぶった味、薄いお好み焼きの干し海老の匂いなど・・・。お使いのために預かった50円玉をドブに落とし、泣く泣く探して拾い上げたこともある。「懐かしいものが旨い!」。食材の物語は、その共鳴の中にある。
(土橋正道)
語り
薬師丸ひろ子
放送予定
OA日 テーマ 担 当
#581 6月 6日 : ひもの 阿部賢実
#582 6月13日 : チャーシュー ※VIVIA
#583 6月20日 : 鎌倉野菜 徳丸あす香
#584 6月27日 : 酢 ※VIVIA
6月のテレビマンユニオン 担当回は・・・
《ひもの》「古くて新しい日本の味 進化する!ひもの最前線」
告白します。私、ひものを侮っていました。
刺身になり損なった残念な魚たちがたどり着く末路、それがひものだと…。
浅はかでした。ひものが保存食に収まっていたのはもう昔の話。
今や、スーパースターの寵愛を受けるのどぐろや、海の幸の王様・伊勢えびなど、
選ばれしものたちがひものに変身をとげる時代なのです。
しかし、上質なものは時に少々値が張るのが世の常。
「刺身に匹敵するプライスなら、刺身で良いじゃない」とスーパーで惑う
あなたに勇気を与えるひもの篇、6日にお送りします。
お楽しみに!
(前夷 里枝)
《鎌倉野菜》「古都に広がる七色の畑 鎌倉野菜」(仮)
近年、京野菜や加賀野菜など産地ならではの野菜が話題になる中、
関東の料理人から注目を集めている産地があります。
古寺と自然の調和が美しい古都・鎌倉です。
鎌倉で作られている「鎌倉野菜」は、キュウリ、トマト、ナスなど馴染みの野菜をはじめ、
「七色の畑」と称されるほど種類が豊富で美味しいと評判です。
いったい鎌倉で作られる野菜は何が違うのか?
日本料理の革命児・橋本幹造さんと鎌倉野菜の魅力に迫ります!
(二階堂 茜)
リサーチ
北口由子