食彩の王国 2019年6月の放送
初夏の日差しが眩しい。ランチに外へ出て、「今日はあの店のカレーにしよ!」と決めていながら、その店が休業していたらがっかりする。「じゃ、和食にするか?」と、すぐには方針転換が利かない。カレーの残像を払拭できないからだ。帰宅してカレーが重なることもある。普段は美味しいのに、食欲が進まなくて不審がられる。匂いや味の記憶は、とてもナイーブだ。若くて生活費に苦労していた頃、お世話になったY野屋の牛丼。今でも、たまに食べたくなることがある。かつては、街に必ず安い定食屋があった。メニューが豊富で、家庭料理のように手軽に食欲を満たすことができた。おかずも飾り棚から選べるという、ちょっとした幸福感。今や大衆的な定食屋も、絶滅危惧種。失われて味わえないものもある。朝の寝床で遠くから聞こえた、母が菜を刻むまな板の音。台所から漂うご飯の炊ける匂いや、味噌汁の湯気。音や香りや味わいの、連綿と続く歴史。令和の時代には、どんな発展を遂げるのだろうか。食や食材の、来し方行く末が想像力を掻き立てる。
(土橋正道)
語り
薬師丸ひろ子
放送予定
O.A. テーマ 担当ディレクター
#782 6月 1日 岩牡蠣 ※テレビ朝日映像
#783 6月 8日 車えび 島越翔平
#784 6月15日 干物 ※テレビ朝日映像
#785 6月22日 ヒラメ 鴨下満
#786 6月29日 枝豆 ※テレビ朝日映像
6月のテレビマンユニオン担当回は・・・
#783 車えび
日本人は今も昔も、えびが大好き!伊勢海老、ボタン海老など20以上もある海老の種類の中で、特に「車エビ」は、”味の王様”と言われています。今回は天然の車エビの産地、愛知県三河湾が舞台。知多半島と渥美半島に囲まれた砂泥地に恵まれた内湾は、古くから車エビの絶好の漁場です。しかし、海に異変が。車エビを育てる藻場が、突然減少しはじめたのです。豊かな海を守るため立ち上がり、荒れ果てた無人島に植林した、知られざる漁師たちの奮闘物語とは。さらにパエリアの日本チャンピオンが、三河湾の天然車エビを使って、新作パエリアを創作。初夏に旬を迎える車エビの、七変化をお届けします。
(篠原利恵)
#785 ヒラメ
青森県を代表する魚と言えば、“ヒラメ”。産卵に向けて栄養を蓄えた初夏のヒラメは、脂が乗ってさらにおいしくなると評判です。下北半島の北端に位置する佐井村は、昔から太平洋と日本海の魚が行き交う好漁場として有名でしたが、地の利が悪いことから県外への流通が至難の技でした。今回は“最果ての地”で獲れるヒラメを全国に広める為に奮闘する魚屋の主人に密着!鮮度を保つ為に習得した“ある技”とは?さらに、郷土料理やシェフによる新作レシピも続々登場します。
(中村朱里)
プロデューサー
土橋正道
アシスタントプロデューサー
平田早季
ディレクター
鴨下 満 植田裕久 河野あや子
田中由美 橋村知曉 橋本 倫
徳丸あす香 土井晴美 伊藤浩子
島越翔平
アドバイサー
吉田夕日
アシスタントディレクター
島越翔平 中村朱里 二階堂茜
篠原利恵