食彩の王国 2022年9月の放送
「夏が来れば思い出す」
ネコの額ほどの庭だが、手入れをすれば驚くほど汗が流れる。塩分を補給して、水を飲め、涼しいところで休めというが、食材の生産現場ではそうもいくまい。世界中の生産者が暑さに耐え、我々の食を支えてくれていることがありがたい。消費者物価指数は上がるばかりだが、誰にも幸せは訪れない。ロシアがウクライナに仕掛けた戦争が諸悪の根源だが、景気低迷が続く日本には大打撃だ。夏は同時に、敗戦当時を思い起こさせる。戦争は経験しなかったが、食糧難のことは思い出す。上野、新宿、渋谷などのガード下には手足を失った傷痍軍人が座り込み、アコーディオンなどを弾いて物乞いしていた。全身白ずくめで包帯を巻く、その異形が目を引いた。同じ場所を行き交う、買い出し、配給、食べるためだけに右往左往する大人の姿を覚えている。穀物の一大産地・ウクライナにも、やがて都会では同じ情景が繰り返されることだろう。戦争がない世界へ導く、人類の英知に期待したい。
(土橋正道)
DVD「食彩の王国 日本の四季」
ポニーキャニオンより好評発売中!
(C)2019テレビ朝日・テレビマンユニオン・テレビ朝日映像
語り
薬師丸ひろ子
放送予定
O.A.テーマ 担当ディレクター
#945 9月 3日 たまご 土井晴美
#946 9月10日 ヤマメ ※テレビ朝日映像
#947 9月17日 アユ 植田裕久
#948 9月24日 落花生 ※テレビ朝日映像
#945 たまご
栄養満点な食材といえば、たまご!食卓の万能選手です。
フレンチの達人、ラ・ロシェルの川島孝シェフのスペシャリテにもたまごは欠かせません。そんな川島シェフが気になっているのが千葉県・袖ヶ浦にある北川貴基さんのたまご。北川さんのたまごは、白身がプリプリなのが特徴です。なんと3年連続で農林水産大臣賞を受賞しています。しかし、そこに至るまでには、経営の危機など様々な苦労がありました。それでも、たまごを絶やすことなく生産する北川さんの奮闘に密着!さらに、川島シェフの新作たまごフレンチも登場します。
(菰田)
#947 アユ
今回は、残暑が厳しい季節に涼を呼ぶ「アユ」が主役です。今話題の「アユラーメン」、割烹の匠が仕立てるアユ尽くしも見逃せません。関東の天然アユの名産地といえば、栃木県北部を流れる那珂川。そこで、「アユ釣り名人」と評判の菊地信孝さんの技を見せていただきます。それは「アユでアユを釣る」というアユの習性を利用した釣り方、一体どんな方法なのでしょう?そして、那須大水害でアユが根こそぎ流されて一大危機に直面した時、川と鮎を守る菊地さんの知恵が行政も動かしました。そのアイデアとは?
さらに宇都宮フレンチの新鋭・音羽シェフは、菊池さんの釣りアユに感動!鮎の美味しさを生かし切る驚きの新作料理も登場します。
(徐)
プロデューサー
土橋正道
制作進行
平田早季
アシスタントディレクター
菰田ゆり乃 徐子豪
音響効果
山﨑恵美