勝利の条件 スポーツイノベーション「フェンシング」

勝利の条件 スポーツイノベーション「フェンシング」

「東京五輪で金メダルを目指す 一瞬の勝負を解き明かす!」

日本に剣道があるように、ヨーロッパにはフェンシングがある。
いずれも古代の剣士たちの戦いから生まれたスポーツだが、剣道は「斬る(叩き斬る)」のに、フェンシングは「突く」。この違いは一体何?とつねづね不思議に思っていた。
調べてみると、秘密は防具にあるらしい。そもそも日本の武将の鎧兜は、全身を覆ってはおらず、一太刀が入り込む余地があった。
一方、中世ヨーロッパの鎧は、まさに全身が鋼鉄の鉄仮面。鉄壁のディフェンスに剣が入り込む隙間はわずかで、 自ずと一発の“突き”が磨かれる剣術となったのである。
やがて剣の戦いが時代遅れになっても、ヨーロッパの剣術は「決闘」という形で残った。
いざ決闘となれば、時に名誉をかけてどちらかが死ぬまで行われた。近代になり殺し合いが禁じられても、代わりに相手の体を一突きし、血を見たら勝負あり。それが今のフェンシング(エペ)の源流だそう。
話は変わるがハリウッドの大作のラストシーンには、よく1対1の決闘が出てくる。集団戦だったはずなのに最後はなぜか1対1。これもフェンシングに代表される西洋騎士道の名残なのだろう。
騎士たるもの、勇敢であるべし、弱きものを慈しむべし。洋の東西を問わず、剣術にはストーリーのクライマックスを想起させる華やかさがある。
國分禎雄

【出演】パトリック・ハーラン、フェンシング日本代表 男子フルーレコーチ…青木雄介、フェンシング日本代表 アナリスト…千葉洋平
【司会】杉岡英樹アナウンサー

ディレクター

佐藤憲正

取材

萩原雅行

プロデューサー

國分禎雄