遠くへ行きたい 2015年8月の放送
このところ番組を作りながら思うのは、若者の地方回帰があたりまえになってきたこと。家業を継ぐことにも抵抗は少ない。SNSの普及で世界中の情報が共有されるので、地理的なマイナス要素は感じない。知り合いや友人が住む土地へ移住し、作物を育てながら、自分の暮らしに合った仕事を見つけて暮らす。空家が多いので、一戸建てでも数千円から借りられる。野菜などは近所の人が分けてくれる。祭りをはじめとして地域の共同作業に若者のエネルギーは欠かせない。かつての平等を見張る息苦しいムラ社会は、明らかに変貌している。都会にはない地域社会の魅力が、密かに力を蓄え始めたようだ。
「地方の現状をつぶさに見れば、日本の今が見える」と言ったのは民俗学者の宮本常一さんだが、この先に何が見えてくるのか?「遠くへ行きたい」の旅はつづく。
(土橋正道)