遠くへ行きたい 2022年5月
誰にも青春がある。1986年の夏の夜だ。
半日続いたクイズ会議が終わった煙草臭い赤坂分室で、青年はたくさんの恐ろしく面白い30分番組のコピーを見ている。それは先輩たちが作った初期作品。伊丹さん、今野さん、萩本欽一さん、外部の映画監督たち…特に、実相寺監督の演出回には大興奮だ。
それから半年後、最高に知的な渡辺文雄さんと大貫昇さんの京都ロケに参加して楽しいのなんの!いいな、いつか撮る。と青年は思う。
数年後、青年は世界中を旅するローテーションディレクターに。旅する仲間が親友に恋人になり、物語ることさえできれば誰にでも出会え、何でも番組になることを学ぶ。書かれたものを撮ることに向かない(興奮しない)青年は、自身の「体験」を伝えるディレクターだ。だからこそ自分の人生を豊かにしなきゃいけないぞ!と心に誓う。存分に楽しんで働き、結果熟達する。
時が経ち、もはや青年ではないディレクターは、5時半台に繰り上がっていた番組の演出を頼まれる。高島礼子さんにお願いし京都2日間で2本を撮る。続けて開局記念で「富士山絶景VS京都お土産」という楽しい特番を撮らせて頂く。作りながら昔観た先輩達の演出が胸に甦る。
また少し時間が経ち、今歴史ある番組に、新しい制作スタッフが新しい風を生み出している。呼んでもらって敬愛する仲間、松下奈緒さんにお願いし、北九州で2本撮り。新春に2週連続で放送した。(2022年1月9日、16日)
ディレクターは感謝しつつ思う。新たな仲間と共に最前線で仕事するのはいつも素晴らしい。いいなあ、大好きな番組がずっと走り続けてるっていうのは。
旅は人間を新しい体験に押し出す。その時誰もが若き日に味わった、世界に触れる新鮮な喜びを取り戻す。
「遠くへ行きたい」はいつも、今も、1本1本にそんな想いがこもった番組だと思っています。
(村田吉廣)
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