能登半島が大地震で揺れた。
焼けてしまった輪島の朝市を「遠くへ行きたい」は何度旅したことだろう。
出会いと発見が詰まった、いつ行っても楽しい場所だった。
おしゃべりしながら魚を下ろすおばちゃん達。「こおてくだ〜」のかけ声に思わず立ち止まる旅人。町には、祭りで暦が進む豊かな暮らしがあった。
藍色の海、棚田を渡る風。息をつめて漆を塗る輪島塗の職人の気迫。勤勉で情の深い人々。
いつも旅人を優しく迎えてくれた能登に、また行けるのはいつの日だろう。
私たちにできるのは、歩みを止めずに進んでいくことだ。
目的地は能登、という長い旅の始まりである。
（森明子）


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