音楽事業部
音楽事業部
テレビマンユニオンは、ヘルベルト・フォン・カラヤン、朝比奈隆、小澤征爾のドキュメンタリーや「オーケストラがやって来た」など、多くの音楽番組を手がけてきました。その経験を礎に、1986年サントリーホール・オープニングシリーズをプロデュース。以後1987年から十余年にわたりカザルスホールの主催公演の企画と制作を担当、舞台制作にも参加するようになりました。
制作会社ならではの自由な発想をもとに、レギュラー企画、海外演奏家の招聘、アーティスト・マネジメント、公演マネジメント、公演プロデュース、さらには、オペラDVD&メイキング制作、式典音楽プロデュース(1998年長野冬季オリンピック、2001年秋田ワールドゲームス、2003年全国植樹祭)など、「音楽」を基点にあらゆるジャンルの企画・制作業務を行っています。(写真:「ヴィオラスペース公演より」)
西村朗さんを偲んで
作曲家の西村朗さんの突然の訃報に意気消沈している。西村朗さんとテレビマンユニオンは昔からお付き合いがある。1978年2月放送『オーケストラがやって来た』第277回「西村朗・天才の証明」(P:萩元晴彦 D:重延浩)が最初と思われる。
萩元晴彦が総合プロデュサーを務めた1987年にオープンしたカザルスホールの主催公演『ティータイム・コンサート』では、1988年-1994年はほぼ毎月計70回、1994年-1997年は計16回、合計86回もプログラム構成・曲目解説の執筆・司会進行・レクチャーを一手に引き受けられた。日本を代表する現代音楽の作曲家が、実にわかりやすくレクチャーをする大人気シリーズとして話題を呼んだ。私は1991年にテレビマンユニオンでアルバイトをしていた折、カザルスホールで初めてお会いした。そして1992年に入社してからは『ティータイム・コンサート』や『ヴィオラスペース』等でご一緒させて頂いた。
『ヴィオラスペース』では、1994年に委嘱した《波のカノン》が世界初演された。2005年3月に日本大学カザルスホールで萩元晴彦の追悼演奏会のために委嘱された《無伴奏ヴィオラのための「鳥の歌」幻想曲》は、今井信子さんが世界初演し、その後『ヴィオラスペース』でも2007年に東京、大阪、名古屋で今井さんが演奏している。2009年に《無伴奏ヴィオラソナタ 第1番(旋回舞踊)》、2019年に《8つのヴィオラのための〈桜〉》を取り上げてもいる。
そして、昨年『ヴィオラスペース2022 vol.30 第5回東京国際ヴィオラコンクール』の課題曲として《ヴィオラのための〈アリムタ〉(不死の霊薬)》を委嘱し、審査委員としても約10日間にわたるコンクールにご参加頂いた。通常、新作の世界初演は1度のみの演奏であるが、〈アリムタ〉は第2次審査の課題曲だったため、世界中から集まった若手ヴィオラ奏者12名(日本、韓国、中国、台湾、ロシア、フランス、ポーランド出身)が2日にわたり熱演した。記者会見で西村さんはこう語ってくれた。「世界最高水準の演奏をたくさん聴くことができ、作曲家として貴重な体験をさせて頂いた。音のパワーを含めて、1つ1つの楽器が、独特の個性を持っているということがよく分かり、それ故に、演奏家の個性があり、個性と個性が結びついて演奏が生まれてくることを感じた。私の思い描いたストーリーと、それぞれの方が自らの判断で作って下さったストーリーが出現した。たくさんの世界を経験することができ、作曲家として嬉しいだけでなく、驚くべき経験だった。」そして期間中のガラ・コンサートで、前述の今井さんが初演した《「鳥の歌」幻想曲》を、審査委員長を務めたアントワン・タメスティが演奏した。その素晴らしい演奏にとても興奮していらした姿が忘れられない。今後も西村さんの作品は、世界中で弾き継がれていくと思う。ご冥福を心よりお祈りする。 (山本生子)
第5回東京国際ヴィオラコンクール
ヴィオラスペース2022 vol.30
第5回東京国際ヴィオラコンクール
開催期間:2022年5月26日(木)~2018年6月4日(土)
会場:飛行船シアター(旧 上野学園 石橋メモリアルホール)
紀尾井ホール
TCMホール(東京音楽大学 中目黒・代官山キャンパス)
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