Zero Waste Life 2024年3月

Zero Waste Life 2024年3月

日本には昔からあらゆるものには大切な「命」があり、その「命を最後まで生かしきる」という思想が連綿と息づいてきた。それはモノの命を慈しむ、まさに「捨てない暮らし」そのもの。モノの命を慈しみながら暮らしを楽しむ人々の素晴らしさを世界に向けて伝える15分番組。
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脚本家・倉本聰の自伝に興味深い記述を見つけた。戦後まもなく、少年時代の倉本が家庭教師に「資本主義とは何か?」と尋ねたところ、その教師は「壊れた時計を修理するのではなく、新たに買うこと」と答えたそう。なるほど、資本主義の一面を鋭く言い当ててますね。この番組は開始以来、モッタイナイ精神から派生する壊れたモノの修理やリメイクをメインに取材し、世界中から共感を得てきた。番組を制作していて感じるのは、「贅沢」という概念の変化だ。昔は修理せずに新たに買うことが贅沢だったのだが、今は古きモノを修理し続けながら使い続けることを贅沢と感じる人々が増えている。もちろん「資本主義」=「贅沢」ではないが、この番組も変化し続ける社会に寄り添って制作を続けていきたい。
三田豊

今月の放送(NHK WORLD-JAPAN )英語版 毎週金曜 午前10:45~11:45ほか

3月1日(金)
#40 Full Trash Alchemist 廃材の錬金術師 ※再放送
「僕にとってゴミ箱は存在しないもの。なぜならそれは素材箱だから」と語る村上結輝さん。子供の頃から工作が大好きだった彼は、芸術大学の卒業制作でバナナの皮から作った“バナナレザー”を発表。それをきっかけに、ゴミやスクラップを生まれ変わらせる素材クリエイターとなった。あるときはコーヒー滓からランプシェードを、またあるときは不要になったレシートから椅子を作る。村上さんの作品は見た目がユニークなだけでなく、できるだけ土に還る素材を使うなど、環境への負荷も考慮されている。この錬金術師ぶりが話題となり、現在は廃棄物に困った企業からの相談が後を絶たない。

3月8日(金)
#41 Sea Trash Nails 海のゴミが指先で輝く ※再放送
湘南でネイルサロンを営む有本奈緒美さんが作る、色とりどりのネイルチップ。幻想的な模様の正体は、海岸に漂着したプラスチックごみだ。おしゃれをしながらも、環境問題への意識を高めてもらいたい──そんな思いが込められているという。かつては介護士だったが、9年前に発症した難病により足が動かなくなってしまった有本さん。手だけを使ってできる職業としてネイリストを選び、家族に支えられながら制作を続けてきた。休日に車椅子を押し、海岸で一緒にごみを集めてくれる夫。集めたごみの裁断を手伝ってくれる娘たち。家族の絆が、ネイルチップをより美しく輝かせている。

3月15日(金)
♯56 Upcycling Old School 廃校備品のアップサイクル
少子化の進む日本。廃校が相次ぎ、椅子や机が行き場を失っている。土井健嗣さんはそんな学校備品を引き取り、ソファーや照明に作り替えてきた。ユニークで懐かしい作品は世代を問わず人気だ。

3月22日(金)
♯57 Clothing Rescue Atelier 服を救うアトリエ
吉村真由さんが運営するアトリエでは、誰もが気軽に服を作ることができる。材料は企業やアパレルブランドから提供された廃棄品。一人ではなく仲間たちと作るからこそ、斬新な作品が生まれるという。

3月29日(金)
♯42 Food Waste Washi 「FOOD PAPER 越前和紙の新しい形」
日本三大和紙産地のひとつ、福井県越前市。ここに工房を構える五十嵐匡美さんは近年、一風変わった和紙作りに力を注いでいる。それは伝統的な和紙の原料の楮(コウゾ)に、食材を混ぜて作るFOOD PAPER。規格外で市場に出回らない作物や、加工場で出た廃棄食材が使われている。伝統工芸の技術でフードロス問題に貢献したいという思いから始めた取り組みだ。同じ作物であっても品種や産地によって出来上がりの質感が変わるFOOD PAPERは、その珍しさから観光客にも人気を博している。1500年以上続く越前の和紙に、いま新しい歴史が刻まれようとしている。

※この番組は放送終了後も、ビデオオンデマンド(外部サイト)でご覧いただけます。

※YouTubeのNHK WORLD JAPANのチャンネルでも「Zero Waste Life」は視聴いただけます。
 リンクはこちら(外部サイト)

NHK BSでも放送があります。英語版 毎週金曜 午前4:30~4:45

3月 1日 #10「八ヶ岳のエコばあちゃん」(再放送)
3月 8日 #11「ランドセルをいつまでも」( 〃 )
3月15日 #12「廃材をアクセサリーに」 ( 〃 )
3月22日 #13「廃瓶に命を吹き込む」  ( 〃 )
3月29日 #14「野菜クレヨン」     ( 〃 )

音楽

笠松泰洋

ナレーション

ガイ・ペリマン

音響効果

岡林亜実

ディレクター

渡辺裕太(#10、#13)
黒住聡丈(#11)
岡崎ひかり(#12、#14)
藤原綾子(#40)
中嶋旭洋(#41)
小林瞬(#42)
瀋志揚(#56)
奥野崇(#57)

AD

潘志揚

プロデューサー

琢磨修一

ゼネラルプロデューサー

三田豊