1972年。同じ曜日・時間帯でぶつかった二つの時代劇。一方は「あっしにゃあ関わりのねぇこって…」と、人との関わりを極力避けるニヒルな渡世人が主人公。もう一方の主人公は「仕掛けて仕損じなし」、金をもらって人を殺すアウトロー。テーマも設定も正反対の時代劇、どうしてどちらも高視聴率を獲得しブームになったのか？「あさま山荘事件」が起こり学生運動が終焉を迎えたこの年、映画産業が斜陽化したことで映画監督がテレビへと活躍の場を変えていきます。市川崑が「紋次郎」、深作欣二が「仕掛人」。掘り下げていくとどちらも放送当時の日本の姿を色濃く反映していることがわかる。食わず嫌いかつ勉強不足でこれまで見ていなかったことをかなり後悔しました…
（池田耕輔）