食彩の王国 2016年11月

食彩の王国 2016年11月

永六輔さんは、常に批判精神を秘めた独特の表現と活動で、サブカルチャーをメインカルチャーに押し上げた人だ。また、話して聴かせる表現を好んだ。古来、情報は語ることが中心だった。浅草の浄土真宗の寺に生まれた永さんは、大衆的な説教を聞いて育った。それが、現代の語り部として生きることに向かわせたのだろう。永さんがラジオに情熱を傾けてきたのも頷ける。そして、真面目なことを言う気恥ずかしさを、ジョークのオブラートで包んできた。全国各地で小さなお話の会を開き、風刺やユーモアで世相を語る姿は坊さんの辻説法そのものだった。
永さんは、テレビに出るタレントが物を食べて、「美味しい!」と言うのを嫌っていた。自分でも、旅先で物を食べるシーンがあると、「食べるところは撮らないで!」と言っていた。そのかわり、その裏側でどんな努力が払われたかを克明に語り、持ち味を伝えようとしていた。あるいは故事来歴によって、目の前の食べ物を浮き彫りにした。
10月から放送14年目に入る「食彩の王国」は、食材を通じて紡ぐ日本人論だ。食べるシーンを使わないのは、永さんの影響も大きい。
(土橋正道)

語り

薬師丸ひろ子

放送予定

    OA日      テーマ     担当D
#653 11月 5日 : 紅ズワイガニ  田中由美
#654 11月12日 : 松茸      ※VIVIA
#655 11月19日 : パクチー    ※VIVIA
#656 11月26日 : 新米      前夷里枝 

11月のテレビマンユニオン 担当回は・・・ 

『紅ズワイガニ』
私なんて誰にも必要とされていないんだ…。スーパーで298円で売られてたって、見向きもされない。カニだよ?ごちそうだよ?なのに、みんな松葉ガニばっかりもてはやすんだ。
今年も、この時期がやってきた。カニ界のアイドルが集う一大イベント、OSB(お歳暮)総選挙。毛ガニ、タラバガニ、そしてライバルの松葉ガニが毎年トップ3を独占。私とタカアシガ二はいつも圏外…。こんなに安いのに。こんなに廿くておいしいのに…。私だって、食卓に 並びたい!会話もなく、黙々と身をほじくられたい!
そんな不遇な運命の紅ズワイガニが、ある人物の目に留まり、物語は動き出す。
「君をカニ界のトップアイドルにしてあげよう」。男の名刺には、「ベニガニ有志の会」。
鳥取県・境港市を舞台に、食彩の王国が贈る、「紅ズワイ。をプロデュース」。 ご期待ください。
(鴨下 満)

『新米』
「黄金の国、ジパング。」
かつて、そう呼ばれた日本で、ゴールドラッシュに沸いた島国・佐渡。東京23区の1.5倍の面租を要する島の風土は、北海道と沖縄の作物が混在する不思議な一面を合わせ持ち、 暖流と寒流が混ざり合う好漁場。
今回は、そんな食のガラパゴス・佐渡の“新米”を特集!実は、これまでユニオン担当回では一度も取り上げられていない未知の世界_。
取材に対する厚い壁に果敢に挑むのは、デカ顔負けの聞き込みを得意とする、熱き女性ディレクター。果たして、その行方は…。乞うご期待!
(間宮 圭次郎)

プロデューサー

土橋正道

アシスタントプロデューサー

平田早季

ディレクター

前夷里枝
植田裕久
田中由美
細村舞衣
永田暁児
橋本倫
阿部賢実
岸元美江

リサーチ

北口由子

アシスタントディレクター

鴨下満
間宮圭次郎