朗読LIVEショー 140字のキセキ

朗読LIVEショー 140字のキセキ

「視聴者の皆さまからとっておきの実話の投稿を集め、それを生放送で朗読する」
そんな番組の演出を、とご依頼受け、心に3つのハテナが浮かんだ。

ひとつめの「?」。投稿は、集まるのか?
今やSNSなど自分の体験は幾らでも発信できる時代。
それをわざわざテレビに投稿される人などいるのか?

ふたつめの「?」。なぜ生放送?
いまやバラエティ的動画配信の技は数多、あえてテレビが生放送する意味はどこにあるのか?

みっつめの「?」。なんで朗読?
歌や漫才なら勝ち目は見えやすい。なのになんで敢えて一見、いや二度見しても地味な「朗読」を?

お話受けて2週間経っても、悶々としていた私。
そんな時、ある番組を観た。
それは、スクラッチくじをひたすら削り、当たったハズれたを楽しむだけのシンプルな番組。
だがそれがいい。抜群にいい。
現場MCのもと、俳優さんと芸人さんが揃って削りに削っていたが、
通常こういう時は芸人さんが輝くものだが、くじを削るだけで俳優さんがどんどん輝いていく。
何故か?観ていてすぐ分かった。
この現場MCの方が凄いのだ。くじに法則を見出し、地味なモノを極上のエンターテインメントに見せる。
それで俳優さんたちをノセていく。
特にいいのはその通る声。時に大仰に、時に歌うように。まるでヒュー・ジャックマンのように場を巻き込んでゆく。

この人が司会してくれたら。

そう思い始めた時、その人のあるラジオでの朗読の音源を聴いた。80年前に点字図書館を創立した方に関する朗読は、6分程度で読むにはとても多い文章を、よどみなく、しかし戦争や、病と言った、しかと読まねばならぬ所にはエンファシスをしかと置いて読む。これはいい、実にいい。

この人が司会してくれたら。

だから番組の会議で熱弁した。
どうしてもこの人にお願いしたい。
この人は声に対するリスペクトも強いし、朗読のような一見地味なものにも華を咲かせ、実をならせてくれる。

僕の熱弁は実を結び、交渉開始。
まだ決まる前に、その人が演劇の主演をされることを知って予約した。ちょうど僕も同じころ、池袋で初めての戯曲が上演される。このご時世ゆえ、ライバルではなく、戦友。そんな誇らしさも持って、観に行くことを楽しみにしていたら、観劇の少し前に、番組への出演が見事決定!

この人に司会してもらうんだ。

そんな思いでその人の主演の劇を観た。
2時間、ほぼ出ずっぱり。
時系列を飛ぶ複雑な物語を、すべて知るクールな視点ではなく、自分も巻き込まれたファニーでチャーミングな視点で引っ張る。そして良く通る声!この人に司会を頼んでよかった、そう強く手応えを得た。

そしてご本人との打合せ。
ひとつ問えば飛び出す、MCとしての覚悟と、
朗読、声へのリスペクト。
その場で撮らせて頂いた投稿呼びかけ動画は
公開後、うなるほど再生され、投稿の数も鰻登りに。
どれを朗読するか悩めるほどになった。
そして生放送への緊張感も、「だからこそやり甲斐があります」という心強い言葉で一気にプラスに。
NHKの、広いだけで地味な会議室での打合せとなったが
その場だけ大輪の花があちこちに咲くような時間。
朗読の地味さはこの人がいれば一気に華となると実感した。

これを書いているのは放送10日前。
生放送のバラエティをやったこと無いゆえ
緊張は今も続くが、
「ここはMCのあの人に任せよう」そう思うだけで
番組の想定台本を書くスピードは一気にマッハになった。
いまは緊張と不安より、共にステキな30分を届けることへの武者震いが勝りつつある。

宮田俊哉さん、どうぞ本番も、よろしくお願い申し上げます。

(阿部修英)

出演者
MC   宮田俊哉(Kis-My-Ft2)
朗読者 津田健次郎
    大久保佳代子
    守本奈実アナウンサー
    ほか随時発表
    (スペシャルゲストあり!)

D

谷本庄平
葛谷朱美
高村安以
中川奈津子 ほか